北野坂界隈の広告物ルール(案)

~多国籍の方々が共生する住宅地・
商業地の景観をめざして~

北野・山本地区をまもり、そだてる会
屋外広告物検討会議

1.はじめに

美しい街並み、花と緑、素敵な暮らし、魅力的なお店。北野と聞いて、一般に想像されるのは、このような素敵なイメージばかりではないでしょうか。北野の景観は、唯一無二の「財産」であるといえます。
 
 しかし、実際に北野を訪れた人からは「がっかりした」という声も聞かれるようになりました。そして、あらためて北野の街を見つめると、乱立する置き看板、景観を損なう大きすぎる広告物、観光客向けのどこにでもありそうなデザインの看板など、決して素敵だと言えないシーンが目立つことに気づきました。

 北野の景観をいつまでも魅力的に保つため、私たちは2018年にはサイン・広告物のガイドラインを作成し、協力をお願いしてきましたが、そこから6年も経過し、商業・観光の環境も変化する中で、より実質的な運用をしていこうと、これまでの取り組みを継承しながら1年以上をかけてルールを検討してきました。

 このルールは、北野の街が築いてきた「ブランド」、そして多国籍の方々が暮らす住宅地としての環境を保つために必要なものであり、お店にとっても、より洗練された広告物のデザインを採り入れ、長い目でお店や街の価値を高め、来街者にもお店や街のファンとなっていただく(結果売り上げにもつながる)ためのものとして、必要なものであると考えています。

 様々な国籍や文化、価値観を持つ人々が助け合い協調しながら暮らしてきた北野。時間をかけて育まれた美しい街並みを、私たちの手で育んでいきましょう。北野で「暮らす人」たちにとっての財産を、未来に永く継承していくために。そして、「訪れた人」に「また来たい」と言ってもらえるように。

2.広告物ルールを考えることになった経緯

  • 北野・山本地区では、神戸市の景観形成市民団体に認定された「北野・山本地区をまもり、そだてる会(以下、まもり、そだてる会)」が、長く地区内の景観の保全に取り組んできました。
  • 来訪者の増加や行動の変化などにより、広告物が増えたり、北野にそぐわないデザインの広告物が出てきたりなど、地区の景観が変わってきたことを踏まえ、2017 年に「北野らしい道路空間の適正な活用を考える会(以下、道を考える会)」が設立され、道路空間のあり方とともに、沿道の広告物のあり方について話し合いを重ねてきました。※「道を考える会」の構成団体:まもり、そだてる会、北野ふれあいのまちづくり協議会、北野婦人会、北野観光協議会、北野 BID、北野 JAM の会、神戸市
  • 2018 年には、看板・広告物に関する「8 つのガイドライン」を作成し、地区内で事業を営む方々へ協力をお願いしてきました。
  • 2023 年に、沿道の広告物のあり方(景観ルール)の検討は「まもり、そだてる会」へ引継がれ、2024 年から、「まもり、そだてる会」の中に「屋外広告物検討会議」を設置しました。
  • 「屋外広告物検討会議」は、「まもり、そだてる会」の部会メンバーに加え、「北野ふれあいのまちづくり協議会」や近隣商業者等も会議に出席いただき、これまでの「道を考える会」の取り組みを継承しながら、現地の確認、先行する事例のヒアリング、地区や来街者の皆様へのアンケート調査、専門家や市の助言を通じて、より北野に即したルールとなるよう、検討を重ねてきました。(参考①をご覧ください)
  • このルール案を実効力のあるルールとして運用すべく、「まもり、そだてる会」、それから「北野・ふれあいのまちづくり協議会」をはじめとした地域の皆様、沿道のみなさまと共有し、ご理解を得ていきたいと考えています。

(参考①:2024 年からの検討の経過)
<2024年>
・4/5(金) 主要メンバー打合せ 進め方の確認
・5/2(木) まち歩き 広告・看板の現地把握
・5/19(日) 岡本地区ヒアリング 事例ヒアリング
・7/1(月) 屋外広告物検討会議 ルール案の検討
・7/18(木) 総会 総会で説明
・8/22(木) 屋外広告物検討会議 ルール案の検討
・10/3(木) 屋外広告物検討会議 ルール案の検討
・11/7(木) 屋外広告物検討会議 ルール案の検討、アンケート案の検討
・12/16(月) 屋外広告物検討会議 ルール案の検討、アンケート案の検討
<2025年>
・3/4(火) 屋外広告物検討会議 アンケート結果報告、ルール案の検討
・4/3(木) 屋外広告物検討会議 ルール案の検討、説明会の検討
・7/17(木) 総会 総会で経過説明
・11/13(木) 屋外広告物検討会議 説明会の検討
・11/20(木) 総会 総会で説明
・12/22(月) 屋外広告物検討会議 説明方法の検討
<2026年>
・1/13(火) 屋外広告物検討会議 説明方法の検討
・1-3 月 地域団体や沿道の方々への個別説明
・2/13(金) 屋外広告物検討会議 説明方法、説明会の検討
・3/12(木) 屋外広告物検討会議 説明方法、説明会の検討
・4/9(木) 説明会 沿道や関係者の皆様への説明会
・7月 総会(予定) 最終案の承認

(参考②:アンケート調査)
・2025 年 1 月から 3 月にかけて、お住まいの方々などを対象としたアンケートを実施し、景観ルールについての意見を伺ってきました。・住民の方などに回覧や掲示でお知らせし、QR コードから読み込んで回答いただくweb アンケートで、計 77 件の回答を頂きました。

(ルールに関するアンケート結果抜粋)

問 12. 合意形成を得ながらルールを作っていきたいと考えていますが、あなたが望むルールのイメージに近いものは何ですか?
  • 「北野エリアに相応しいデザインにこだわったルールにしてほしい」と回答された方が多く、33 名(43%)と なっています。次いで、「北野エリアの街並みを守るため大きさや種類を絞るなど厳しいものにしてほしい」が 19 名(25%)、「商業活動と街並みのバランスがとったものにしてほしい」という回答者が 17 名(22%)と続いています。

3.ルール案の対象

  • 本ルール案は、「北野坂沿道(下図)に設置する全ての屋外広告物」を対象に作成したものです。
  • 今後、地域団体や沿道のみなさまとの意見交換を経て、合意形成をめざします。また、この取り組みを「北野・山本地区をまもり、そだてる会」景観まちづくり活動範囲(例:異人館通りなど)にも広げたいと考えています。

4.屋外広告物とは

  • 屋外広告物とは、屋外広告物法において「常時または一定の期間継続して屋外で公衆に表示されるもの」で、内容が営利を目的とした広告物とは限りません。具体的にはこのようなものがあります。

    地上広告物/屋上広告物/壁面広告物/突出広告物/アーチ利用広告物/電柱広告/街灯柱利用広告物/標識利用広告/車体利用広告/アドバルーン/幕/旗及びのぼり/立看板/はり紙及びはり札

5.手続きの流れ

  1. 事前相談:屋外広告物の掲出者(新規出店店舗等)は、掲出前の早い段階で「北野・山本地区をまもり、そだてる会 屋外広告物検討会議(以下、検討会議)」に事前相談を行い、掲出内容の相談、必要書類(チェックリスト等)の確認を行っていただいた上で、必要書類を「検討会議」に提出してください。
  2. 事前協議(デザイン協議): 「検討会議」は、屋外広告物のルール&ガイドラインの内容に沿ったものになっているかどうかについて審査を行い、掲出者に対して結果を報告します。判断が難しい場合等には、有識者への相談も行います。
  3. 許可申請など:事前協議が終了したら、神戸市などに必要な書類(屋外広告物許可申請書類など)を提出してください。

6.神戸市による景観形成助成

 

 

※以下の「景観形成助成」「助成の要件」
「助成対象行為・助成金の額」については、
更新前の内容を掲載しているため、
後日修正予定

景観形成助成
良好な都市景観の形成に貢献する建築物、外構、屋外広告物の整備などを行う場合に、整備費等の一部を助成します。

助成の要件
次のいずれかの要件を満たす行為に対して助成します。

  1. 景観重要建造物及び神戸市指定景観資源について、管理計画又は保存活用計画に基づき行われる外観等の維持、修理に要する行為
  2. 景観重要建造物及び神戸市指定景観資源について、地域活動拠点等の地域活性化に資する用途に活用するための改修に要する行為で必要と認められるもの
  3. 景観計画区域の重点地域等の区域内において、すぐれた都市景観の形成のための努力が特に認められるもの
  4. 景観形成市民協定の区域内において、すぐれた都市景観の形成のための努力が特に認められるもの
  5. その他、市長がすぐれた都市景観の形成のために特に必要と認めるもの

助成対象行為・助成金の額
【助成の要件 3~5 に該当するもの】

7.屋外広告物ルール(案)

  • 本ルールは、以下の3つの考え方で構成されています。

A 禁止する

北野の雰囲気になじまない、かえって価値を減じるものや、景観や安全上の問題が大きいものは、掲出を禁止します。

B 規制する

店舗などには必要なものだが、意匠や、色、大きさなどのルールなど最低限決めておくべきことを守っていただきます。
また目立ったり、特定の商品を訴求したり、まちのことに配慮せずに掲出されるような広告物を避けるようにします。

C デザインクオリティを高める

より北野らしい、シンプルでオリジナルなデザインを誘導するようにします。
その際、地域や専門家の意見を取り入れていただき、より良いものになるようにしていきます。

A 禁止する
広告物の種類 ルール
1) のぼり旗 ・禁止する(掲出しない)
2)デジタルサイネージなどデジタル広告 ・禁止する(掲出しない)
・地域に貢献する内容(例:観光案内など)を掲出する場合は対象外とする
3)屋上広告 ・禁止する(掲出しない)
4)はり紙など ・禁止する(掲出しない)
・法令上禁止が除外されており、やむを得ないもの(例:選挙系など)は対象外とする
 

(A 禁止する のイメージ)

のぼり旗

デジタル広告

屋上広告

はり紙

B 規制する
  • 本ルールは、基本、1店舗・1事業所あたり(テナント単位)に適用します。
    ※ビルオーナー・一棟貸しの場合は1店舗・1 事業所とみなして適用します。
    ※2)突き出し広告、地上広告は、建物単位にしています。
  • テナントが複数入居する場合は、1店舗・1事業所あたり(テナントの区画ごと)にルールを適用します。テナントの区画とは、間口は各テナントの借用区画の柱の心々、高さは床から上層階床までの階高とします。
広告物の種類 意匠などの定性的なルール 個数のルール 高さや幅・面積のルール
共通 北野の街の景観と調和するよう、以下の考え方で掲出する
・自家用広告物のみとする
・数や大きさは必要最低限・最小限にする
・シンプルなデザインとし色を多用しない。
特に注意や警告を発する赤色、黄色を避ける
・眺望や見通しを妨げないデザインにする
・法令を遵守する(道路上にはみ出したりしない)
1店舗・1事業所あたり以下の中から総数5個以下
1)バナー広告 ・店名・ブランド名やロゴ、模様によるデザインを基本とし、人物・顔写真は用いない
・1つの建物に1種類とし、数や大きさは必要最低限・最小限にする
突き出し幅を最低限(1.0m以下)
2)突き出し広告 ・複数のテナントを表示する場合はそのデザインを揃える
・ベース色は無彩色または低彩度色にする
1つの建物に1つ 1面当たり2㎡以下
3)壁面広告 ・ビル名やテナント名等を表示するものを基本とする
・商品や価格の訴求を行ったり、写真などを使った広告は原則掲出しない、置き看板などで代用する
・壁面ごとに最低限にする
・ベース色は各々1色とし、複数掲出する場合もできるだけ複数色を使わない
・窓面広告(内張も含む)は壁面広告、置き看板などで対応するものとし、原則掲出しない
・壁面に掲出できないなど、やむを得ない場合に限り、各階の壁面ごとに最低限とし、文字を基本、原色などを使用しない
1店舗・1事業所あたり壁面ごとに2つまで ・1階部分の壁面の面積の上限は当該壁面の7%以下
・2階以上も含む壁面全面の面積は当該壁面の5%以下
4)地上広告 ・複数のテナントを表示する場合はそのデザインを揃える
・掲載する情報は最低限必要なものとし、強調や訴求表現を使わない
・ベース色は無彩色または低彩度色にする
・アクセント色に複数色を使わない
1つの建物に1つ
(敷地の接道部分が複数ある場合は各部分につき1つ)
・表示面積は1面当たり2㎡以下
・地上からの高さを4.5m以下とする
5)立て看板・置き看板 ・掲載する情報は最低限必要なものとし、強調や訴求表現を使わない
・ベース色は1色とする
・安全性に配慮し、風で飛ばないよう固定する、出し入れを行うなどの措置を講じる
1店舗・1事業所あたり1つ
6)テント・庇利用広告 ・テント・庇は原則として設置しない
・やむを得ず設置する場合は景観に配慮し、以下の規定を守ること
– 庇は建物の外壁等からの跳出しとし、敷地の外に柱等を設置してはならない、また、車道上に設けてはならない
– 広告文字等は正面の垂れ幕部分のみに記載し、掲載する情報はビル名・店名や業種に限る
– 壁面広告として取り扱い、個数、面積、色、その他の規定を守ること(正面垂れ幕部分を規制対象面積としてカウントする)
– 神戸市が定める景観形成基準、道路占有許可基準を遵守する
– 設置する場合は、景観・安全面から適切な維持管理を行い、老朽化した際には更新を行う
1店舗・1事業所あたり1つ ・テント下端までの高さは地上2.5m以上
・テントの上端までの高さは地上4.5m以下
・テント庇の跳出しは敷地境界線から1.0m以下
7)オブジェ ・彫刻・アート作品など、北野に相応しいものとする
・店舗で販売する商品や商売を想起させるオブジェは置かない
8)照明 ・輝度や色温度は、電球色を基調とするなど、周辺環境に配慮したものとする
・照明対象範囲外に光が照射されないように留意する
・内照式は避け、できる限り外照式とする(ただし、文字のみの場合など、良質な
夜間景観を演出するものはこの限りでない)
・光が動くもの、点滅するもの、色が変化するものは原則として使用しない(ただし、良質な夜間景観を演出するものはこの限りでない)
9)自動販売機 ・原則として道路に直接面して設置しない
・すでに設置している場合は、建物と調和した色調・デザインとし、自動販売機には広告を表示しない

別図:景観形成地区・景観形成道路・景観形成小路の位置

テント・庇の設置
(神戸市道路占用許可基準要綱 日よけ・雨よけ類標準図より抜粋)

1)歩道上に設置する場合

出幅:1.0m以下 最小地上高:2.5m以上

(B 規制する のイメージ)

規制対象

人物・顔写真を用いたバナー広告

規制対象外

店名によるデザインを基本としたバナー広告

規制対象

商品の写真を用いた壁面広告

規制対象外

ビル名を表示するのみのシンプルな壁面広告

規制対象

店舗で販売する商品や商売を
想起させるオブジェ

規制対象外

彫刻・アート作品などのオブジェ

C デザインクオリティを高める
広告物の種類 ルール
共通 北野の街の景観の価値向上に寄与するよう、以下の考え方に基づく事前協議やアドバイザーの意見を反映し、デザインクオリティを高めたものとする
・お店の店構えやサービスを主にする(広告は脇役)
・建物の意匠と一体的にデザインする
・できるだけ控えめにし、店舗の品格を保つ
・ヒューマンスケールに即した大きさにする
・街のブランディングに寄与するものにする
・周りに揃えて統一感を持たせる
・植物などと組み合わせ好感度を上げる
・洗練されたロゴデザインにする
・駐車場の広告物は、推奨デザインに沿ったものにする

(C デザインクオリティを高める のイメージ)

緑とグレーのみで派手さを抑え、統一感と落ち
着きのあるデザインとした駐車場の広告物

派手さを抑え、落ち着きのある
セブンイレブンのデザイン